新型コロナウイルスの感染症が目に見えるカタチで大変になってきました。
まずは、新型コロナウイルスに罹患されお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、重症で入院し苦しい闘病生活を続けられている方とそのご家族の方々に対しお見舞いを申し上げます。
3月中旬まで、僕の住んでいる地域は、感染者数は比較的少ないほうでした。ところが、この1週間ほどで劇的に増えてしまいました。
新型コロナウイルスによる直接的な被害はもとより、ホテルや飲食店なども経済的に壊滅的な大打撃をくらっています。
ウチもホテルのベッドメイクや清掃を請け負っているので、売り上げは60%のダウン。社員さんの皆さんには、仕事が減るなか、時短や出勤停止をお願いしているところですが、売上が上がらないけれど、借入金を増やし正規の作業量の差分を休業補償として60%を支給するようにしました。
家庭への経済的な支援は早急に必要だと、ひしひしと感じているところです。
さて、今回は新型コロナ対策として政府が検討している現金給付について、僕なりの意見を述べたいと思います。
僕の立場と状況
僕の意見を述べる前に、僕の立場と状況をお伝えします。
まず、僕は地方の中小企業の経営者です。業種は清掃業です。なので、サラリーマンや専業主婦のような視点ではなく、経営者の視点で記事を書いています。
今のところ、ウチの会社のホテル部門は全体の15%ほどなので、その他の部門のおかげでなんとかやり繰りできています。けれど、社員から感染者が出ればかなり苦しい立場になります。
年収はそれなりにあるのですが、個人の借金が1,900万円ほどあります。住宅ローンなどのローンではなく、クレジットカードのリボやカードローンなど、かなり金利の高い借金です。
手取り額の5分の4が借金の返済に消えていきます。自業自得とはいえ、毎月大変な思いをしながら借金を返済しているところです。
今回の現金給付の場合、おそらく給付は受けられないでしょう。
僕の立場と状況はこんな感じです。
それでは、経済支援に関する僕の意見を述べたいと思います。
家庭への経済支援は一律の現金給付にすべきだ
まず、僕の意見の結論から。
家庭への経済支援は国民1人あたり一律の現金支給にすべきだ!
と、考えています。
理由は大きくこの3点です。
- 早急な支援ができるから
- 選別が難しいし基準が不公平だから
- ベーシックインカムの社会実験になるから
それぞれご説明しますね。
早急な支援ができるから
国民1人あたり一律の現金支給の場合、かなり迅速に支給できます。
選別して給付する場合は、
一律の場合、少なくても選別する時間は短縮されます。
すでに3月の給与がほぼゼロになった方もいらっしゃるでしょう。その中には、ローンやクレジットカードの支払いがあり、生活費以外にも必要な支出がある方もいらっしゃるでしょう。
本当に一刻も早い給付が必要です。
選別の作業は後回しに出来る
給付後の選別を後回しにする方法があります。
それは、年末調整と確定申告です。
年間の世帯収入は12月に一度締められます。その世帯収入によって、来年の所得税や社会保険料の額を決定されるのですが、前年度に決定された税額よりも余分に支払っていた分は年末調整か確定申告で申告すれば返ってきます。
給付を所得に入れると、新型コロナウイルスの影響を受けなかった人は、影響を受けた人よりも結果的に所得税として多く引かれることになります。
また、所得税の累進課税ギリギリで所得調整していたらそのラインを超えることになります。
すると税収が増えるか、逆にその金額分を寄付する流れになると思います。
こうすると、迅速な対応かつある程度平等な支給といえるのではないでしょうか?
選別が難しいし基準が不公平だから
メディアやSNSなどでも議論になっているとおり、選別して現金給付行う場合、給付をどの範囲まで行うかの選別が非常に難しいです。
選別をキッチリすると自治体のマンパワーが必要ですし、給付までの時間がかかります。逆に選別をいい加減にすると不正が増えるでしょう。
どの時点での収入(or所得)かも重要ですね。
個人事業主の場合、帳簿の作成を外部委託していて自分では全く分からない人もいるでしょう。この場合は所得の説明を自力では出来ないこともあるでしょう。
さらに、支給されるボーダーライン上でもらえなかった人は、ものすごい不満を抱えることになります。
単に収入や所得が減少しただけで給付では不公平感もあります。
例えば、飲食店のオーナーさんなどで、月の利益が300万円くらいあるから毎日お店のお金で豪遊していたとしましょう。そのオーナーさんは新型コロナの影響で3月のお店の利益が大きなマイナスだったとします。4月も5月も同じような状況だと、倒産するか首をくくるかの選択を強いられる。
このケースでは、支給しますか?それとも、豪遊して貯蓄に回していなかったので自業自得だと支給を見送りますか?
様々な意見を生んでしまう。この不公平感自体がすでにアウトだと思います。
ベーシックインカムの社会実験になるから
最後は、一律給付だとベーシックインカムの社会実験になるからです。
ベーシックインカム(basic income)とは、最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策。基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBI、UBIともいう。世界中で限定的なパイロットプログラムも始まっている。
新型コロナウイルスへの補償として国民全員に一律給付だと、受け取る人によって様々な反応があると思います。その反応がデータになりますし、少なくてもベーシックインカムの給付に関するオペレーションの実験にはなります。
ベーシックインカムは実現可能か?
ベーシックインカムは国が毎月お金をくれるのですから、なんか夢のようなシステムに見えますね。
でも大きな問題があります。
やっぱりというか何というか、財源の問題です。
仮に1億2千万人の日本人1人あたり10万円支給する場合、年間144兆円の現金と運営費の財源が必要。
財源は、現行の年金、障害年金、医療、介護、生活保護、失業補償、保育などの子育て支援を含めた社会保障制度を一部もしくは全部を廃止することでまかなうことになります。
つまり、ベーシックインカムは、「毎月お金をあげるからその後は全て自己負担・自己責任だよ」という非常に恐ろしい制度です。
ちなみに、2017年度の社会保障費用の合計は年間約124兆円(年金含む)です。(出典:社会保障費用統計(平成29年度)|国立社会保障・人口問題研究所)
1人8万円の支給だと給付の総額は115兆円なので、8万円支給だと出来なくはないです。でも、社会補償費用の中には年金が含まれてますので、現役時代に多額の国民年金や厚生年金を払った人からすると噴飯物です。
個人的にはベーシックインカムは大賛成なのですが、自民党や公明党など与党は反対しています。ベーシックインカムの導入は大きな政府から小さな政府への転換なので、仕事がなくなる官僚も反対するでしょうね。
どちらにしても、制度導入にはかなりの変革が必要となります。
ベーシックインカムの社会実験で何が分かるか
実現するしないは別にして、社会実験としての意味合いは大きいと思います。
実際に現金を配ったらどういう現象が起こるか、興味がわきます。
ひょっとしたら、新型コロナウイルスで困っている人の総数は多くなく、ほとんどの人は銀行口座に眠らせてしまうかも知れません。
逆に、無計画に散財してしまい、いざ自分が本格的に困ったときにお金がないということもあります。
いずれにしても、何らかの結果が出るので、ベーシックインカムの是非を占う意味でも現金の一律給付は意義があるのではないかと思います。
まとめ
以上、現金の一律給付が望ましい理由を挙げてみました。
実は現金の一律給付にはいくつか問題点(財源がない・将来の税負担が増える・継続性が無い)があるのですが、それよりも何よりも迅速な行動こそが必要だと考えます。
僕みたいに、収入の5分の4を借金返済に充てている人間からすると、日々の生活はいただいている収入からすると苦しいです。とはいえ、僕などは自業自得。ウチの会社がピンチになって役員報酬を下げるような事態にならない限り、まだ大丈夫です。
仕事をしたくても仕事がなくなり、明日すら心配な方も多数いらっしゃるでしょう。
なので、一律給付ではなくても良いので、とにかく、今大変な方の経済的な支援と心のケアという意味で、政府には迅速な対応を願います。
追伸
はやく新型コロナウイルスの混乱が終息されますように。